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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(オ)957号 判決 1954年10月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人樋口恒蔵、同井田憲次の上告理由について。

原判決は、訴外宮関合名会社の解散並びに清算人の選任は当時同会社の残存総社員の一致の意見によつてなされたものであるから有効であると判示するものであつて、たとえ右解散の登記に申請人として死亡社員の氏名を併記した事実があつたとしても右解散並びに清算人の選任それ自体の効力に何ら消長を及ぼすものでないことは勿論である又、商法一二条は登記当事者が登記すべき事項を以て第三者に対抗し得べき場合を規定したのであるから、本件のごとく、会社の清算人から動産を買受けた被上告人(原告)が第三者たる上告人(被告)に対し右所有権を主張する場合には、同条は、その適用を見ず、従つて所論清算人選任登記の効力如何にかかわらず被上告人は右所有権を上告人に対し主張することを得るものと解すべきである。論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条を適用し、全裁判官一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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